2008年01月09日

基本姿勢其の一、京町家という伝統文化財を残したい

町家ゲストハウスの開業を目指すに当たっての想いや基本姿勢を少し書いていきたいと思います。

【基本姿勢其の一、京町家という伝統文化財を残したい】

伝統的な日本家屋は不思議な魅力で人を惹きつけます。
なぜにこうも伝統的な日本家屋は美しいのか。

・白い壁と黒い梁のコントラスト。
・強い日差しを柔らかな光にして通す障子。
・広縁によって生まれる室内と庭との連続性。
・夏に足裏に気持ちよい板床。
・直線で織り成される簡素な美しさ。
・磨り減り色褪せて生まれる自然素材の侘びと重厚感。
・人が集まり団欒の生まれる間取り。
・理屈ではなく、心に働きかけてくる温かみ。


長きに渡って建築様式を成したということは、長きに渡って人々が「家を作るならこのようにしたい」
と考えたということ。そういう意味で普遍的な美意識や価値観が洗練され凝縮されたものだと思います。
単なる好みと片付けることもできますが、私はそんな伝統的日本家屋が好きで好きでたまりません。

しかし千年にもわたり都が置かれた古都であり、日本の伝統文化の集積地である京都でさえも
その美しい伝統的家屋が次々と壊され、急速に昔ながらの情緒ある街並みが失われています。
鴨川の両岸にはパチンコ店やコンクリートの薄汚れた商業ビルが立ち、今やどこにでもある
工業国の市街地の風景と変わらなくなりつつあります。

資料によれば、2001年に京都市内に確認された木造建築24,000棟が2006年までの5年間で
4,000棟も減少しています。もっとも洗練された美意識を持つはずの京都の街並みが
思いのほか汚らしいなんて残念極まりないことです。

そこに住む人の経済や産業を考えるならば京都は古都・伝統と芸術の都として差別化
し続けたほうが賢いでしょう。
何より京都にはいつまでも和のアイデンティティーを感じに戻れる場所であり続けてほしいものです。
その為には残された街並みをどうにか守っていけないものでしょうか。

なぜここまで急速に町家が姿を消しているのでしょうか。

・管理が大変
・隙間風だらけで底冷えも酷く、冬が寒い
・商業施設に用途変更する際に、消防法などの基準を満たすのが困難
・間取りが使いづらい。
・音が丸聞こえ


特にご年配だけで暮らしていくには冬の寒さや日常的な手入れは大変なもの。
平たく言えば職住一体様式の町家が老人ホームとして残るには無理があります。

人が住まなくなり、展示物のようになってしまうと衰退は一気に加速していくものです。
生活の場として如何に位置づけられるかが鍵ではないでしょうか。
こうなると、町家を残して行く為には、町家の価値を引き出してそこを生活拠点として
生きていく若い人や働き盛りの人を増やすしかありません。

そのためにも収入や生活レベルを犠牲にすることなく、一層の愛着を持って、
心豊かに暮らせる(便利=幸せではないので心豊かにとしたい) 。
町家がそんな場所であることを証明したいと思っています。

さらには地主や貸し手にとっても、町家として活用したほうが駐車場やコンクリート造りの
アパートにするよりも、経済的にも魅力的であることを示していきたいと思います。
わかりやすく例えると「あほやなあ、町家のままのほうが儲かるのに駐車場なんかにして」
と皆が当たり前のように言うようにしたいのです。
posted by じゅん at 23:45| 京都 | Comment(0) | お知らせ&あつまり | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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