平凡社より出版された「日本を知る105章」という良著に出会いました。
日本を理解するのに役立つというか、「日本っぽいもの」として興味惹かれる105の事象が日本語だけでなく、英語でも書かれています。
似たような本は英語の副教材本のようなものとして多々ありますが、本著が違うのは日本語の説明も単なる説明文ではなく読ませるエッセーである点。
「わび・さび」の項を書く随筆家白州正子に始まり、「愛想笑い」評論家鶴見俊輔、「温泉」をドイツ文学者種村季弘、「歌舞伎町」を宗教学者植島啓司、「琳派」をグラフィックデザイナー田中一光が書いているなど。無味乾燥とした説明文ではなく、彼らの視点やエピソードを交えた読み物として楽しめます。
そして関心するのは翻訳のレベル。Geraldine HarcourtとStanley N. Anderson両名が中心になっています。原文を忠実に訳していながらも、表現はネイティブな表現に富む。正直言って私の頭からは出てこない表現ばかりなので「ああ、これがネイティブの英語なんだな」と察しているに過ぎないですが。英語を勉強するための本としてもとても良いと思いました。
そして何より、もう一歩深く正確に日本のことを英語圏の人に伝えられるようになりそうです。通訳が拙い為に、外国の方にそこの浅いものだと思われるのも嫌ですからね!